こんにちは。主宰の村野玲子です。
今回、地下深くにあるジャズハウスで、
中谷路子氏によるピアノ演奏とあわせ、
照明家の松本永氏の協力のもと、
ダンスと演劇と音楽のコラボレーション企画を行う運びとなりました。

演目は、どなたでもご存知であろう三島由紀夫氏の、
短篇集「近代能楽集」より『葵上』と『班女』。
言葉が美しいのみならず、嫉妬や執着、憧憬や侮蔑といった、
男女間にうずまく、決して美しいばかりではない情念が、
シンプルでありながら力強く描ききられた戯曲2本です。

人の愛とは、愛について抱く理想とは、こんなにも非道く、醜悪で、しかしそれゆえにぎらぎらと美しい。
美醜、善悪を超えた「生きることへの賛美」が、台詞から、行間から、切迫感を持って立ち現れます。

今回、そういった生命力の現出し得る空間として、何かが蠢くざわめきが常に息づく言わば“巣窟”、
「マイルス・カフェ」で上演させて頂くことに致しました。
池袋の風俗街のど真ん中に位置する、赤い看板の光るジャズハウス。
会場となるスペースAGATHAの床は、白と黒のコントラスト。
ここでクラシカルな演目を上演することの違和を逆に作品内に取り込み、入念に作り上げて行き、
果たしてどんな現象が立ち現れるか…どうぞ皆さん、この実験の結果を“目撃”にいらっしゃいませんか?
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